総領事ご挨拶(令和7年9月)

令和7年9月19日
総領事ご挨拶

 在ボストン日本国総領事の髙橋誠一郎です。早いもので当地着任来1年が経ちました。

 本年2月、天皇陛下誕生日を「日本の日」と宣言したボストンでは、史上初の日章旗の掲揚式が市内中心部で数多くの当地日本関係者とともに行われました。マサチューセッツ州では、1843年に中濱万次郎が日本人として初めて米国本土(同州ニューベッドフォード/フェアヘイヴン)に上陸したとされる5月7日を「日本の日」と定める初の決議が下院にて採択され、同趣旨の宣言がモーラー・ヒーリー知事からも布告されました。今や米国最大規模の日本文化イベントに成長した「ボストン日本祭り」は、ボストン繁華街中心部に第二会場を新設し一層地元米国人に身近な当地の春の風物詩へと進化を遂げつつあります。

 ペリー提督の出身地でもあるロードアイランド州では、日米和親条約170周年の機会を捉えた昨年の対日友好決議に続き、本年は同条約署名日の3月31日を「日本の日」に制定する決議が上下両院で採択されました。 


 ニューハンプシャー州とは、特に本年のポーツマス条約締結120周年で盛り上がりました。9月5日の本条約署名記念日には、初の州議会による対日友好宣言が上下両院合同で発出され、ポーツマス市で開催されたベルリンギングセレモニーには、州知事、連邦議員等も出席し、同州との関係を一層強化する機会となりました。 

 メイン州にも日米を結ぶ深い絆がありました。153年前に日本に野球を初めて紹介したホレス・ウィルソン氏はメイン州の出身です。2月には日・メイン関係者が一堂に会して同氏を顕彰するイベントが盛大に行われ、ウィルソン氏顕彰碑設立委員会が発足、7月にはこれを記念してポートランド・シードッグス「日本デー」イベントが行われました。 

 マサチューセッツに次ぐ規模の日本人コミュティを誇るコネチカット州、米国有数の日本語教育機関を有するバーモント州との関係も各分野で着実に発展しています。 

 初物づくしでダイナミズムに満ちた1年でしたが、その背景にあるのは、何と言ってもボストン・エコシステムを中心に急速な発展を見せる日本との経済関係です。マサチューセッツ州ではライフサイエンスやバイオテックなど地元イノベーション・スタートアップとの連携強化を中心軸として日本関連ビジネスは急速に拡大、国外企業数等において最大規模のプレゼンスを誇っております。世界屈指の当地学術・研究機関と我が国主要大学との間の新たな連携強化の動きも見られます。日本食をはじめとする我が国伝統文化、ポップカルチャー等はすっかり地元の日常生活の一部となっており、当館の“Cultural Friday at CGJ Boston”も当地日本ファンの集いの場として地元に根を下ろしつつあります。 

 私は「人と人との交流」こそが国家間関係の根幹にあると信じます。日本とニューイングランドとの間には、経済、文化、科学技術、学術交流、芸術、スポーツ、観光、あらゆる分野にまだまだ潜在力が眠っています。各界でご活躍されるニューイングランド地方在留約18,000人の邦人の皆さまが何よりも安全に、そして安心して生活を送ることができるようお支えしながら、日本と現地をつなぐ“convening power”として、そして新たな発展への媒体として、引き続き全力で取り組んでいく次第です。改めまして、皆様からの温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。 

ヒーリー・マサチューセッツ州知事と
マサチューセッツ州「日本の日」制定
ロードアイランド州議会「日本の日」制定
メイン州ホレス・ウィルソン氏顕彰イベント
ニューハンプシャー州ベルリンギングセレモニー
バーモント州議会にて
コネチカット州ハートフォード夏祭り
ボストン市「日本の日」宣言