夏期における病気・怪我への注意点について
- ポイズン・アイビー(Poison Ivy)による接触性皮膚炎
身近にある毒性の強い草で、3枚の葉が1組になって枝についています。ポイズン・アイビーの毒性はウルシと同じUrushiolという物質で、これが原因でかぶれます。最初はこの草に触った手足や顔に薄くブツブツが出来ますが、しだいに広がり、水疱を作ります。ポイズン・アイビーと思われる草に触れたと思われる場合には、出来るだけ早く水洗いをしてください。Urushiolは水と中和するので5分以内に洗い流すことができれば、他の部位への拡散を防ぐことができます。痒みには氷で冷やしたり、冷たいシャワーを浴びることで痒みを和らげることができます。全米でも毎年1000~5000万人の人たちがポイズン・アイビーの被害にあっているとの報告もありますが、そのうち10%~15%の人にUrushiolの感受性が極めて高く、重症化することがあります。顔や腕なども腫れてくることがあり、このような場合には皮膚科の受診が必要となります。
(参考ウェブサイト)
○ http://www.cdc.gov/niosh/topics/plants/
○ http://www.massgeneral.org/conditions/condition.aspx?id=375
2.ライム病(Lyme disease)
ダニに刺されて起きる病気です。ニューイングランドを含む米国北東部に多く、ダニの吸血活動期である春から夏にかけて発生します。ブッシュ前大統領も2007年に感染して話題となりました。急性期には、ダニに咬まれてから3~32日後に紅斑、リンパ節の腫れやインフルエンザに似た症状が出てきます。その後、髄膜炎、多発性神経炎等の神経症状、不整脈等の循環器症状、関節の腫れ等の関節炎症状をきたすことがあるので注意を要します。治療には抗生物質が有効です。
(参考ウェブサイト)
○ http://www.cdc.gov/Features/LymeDisease/
○ http://www.mass.gov/eohhs/consumer/wellness/disease-prevention/communicable-diseases/ticks/public-health-cdc-tickborne-lyme-faq.html#1
3.ウエストナイル感染症(West Nile Virus)
ウエストナイルウイルスはウイルスに感染している蚊(イエ蚊、ヤブ蚊など)に刺されることで感染します。人から人への感染で病気が拡大することはありません。ウエストナイルウイルスに感染し発症した状態がウエストナイル熱といわれるものです。発症するのは感染者の2割程度(潜伏期間は通常2~6日)で8割の人は無症状です。発熱(39度以上)、頭痛、筋肉痛、時に発疹、リンパ節の腫れなどの症状が3~6日ほどみられますが、通常は1週間程度で回復します。
また、ウイルスが脳に感染して更に重篤な状態となるのが、ウエストナイル脳炎で、激しい頭痛、意識障害、痙攣、筋力低下、麻痺などの症状が数週間続き、後遺症が残ることもあります。ウエストナイル脳炎を発症するのはウエストナイル熱感染者の約1%と言われています。また、重篤な患者は主に高齢者にみられ、重症患者の3~15%が死亡すると言われています。
現在のところ、ウエストナイルウイルスに対するワクチンはありません。また、ウエストナイル熱やウエストナイル脳炎に対する特効薬もなく、症状を軽減するための対処療法が中心となっています。蚊に刺されないようにすることが最大の予防策です。屋外にでるときは、虫除けスプレーを使用したり出来る限り長袖、長ズボンを着用することをお勧めします。
(参考ウェブサイト)
○ http://www.cdc.gov/ncidod/dvbid/westnile/index.htm
○ http://www.mass.gov/eohhs/docs/dph/cdc/factsheets/wnv.pdf
4.東部ウマ脳炎(EEEV)
東部ウマ脳炎はウイルスを保有する鳥や馬などの家畜から蚊によって媒介しますが、人が感染しても発症しない場合も多く、また、感染後2~10日間程度の潜伏期間を経て、発熱、吐き気、筋肉痛、目眩や眠気などの風邪に良く似た症状がでるため、当初の医師の診断によっても病因が特定されないことが多いのがこの病気の特徴です。また、この感染症は免疫力の弱い1歳以下の乳児と55歳以上の年齢層の方が比較的発症しやすいと言われていますが、最も危険な症状は脳の炎症と腫れで、脳炎となった患者は1週間のうちに意識不明の重体になる恐れがあり、致死率は30%~50%と推定され、回復しても脳に重度の後遺症がのこることがあります。
(参考ウェブサイト)
○ http://www.cdc.gov/easternequineencephalitis
○ http://www.mass.gov/eohhs/docs/dph/cdc/factsheets/eee.pdf
(2012/06/05)