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「大規模災害時における『子どもの心のケア』に関する米国研修」報告会を開催(12月9日)

去る12月9日(金)、当館は、東日本大震災後の被災地関係者ら17名からなる「大規模災害時における『子どもの心のケア』に関する米国研修(派遣元:社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所)」一行と,同研修を実施した当地医療福祉関係者らによる活動報告会を、総領事公邸で開催しました。
東日本大震災では、地震や津波等の被害に加え、家族や隣人の死に晒され、子どもたちは何重にも及ぶ心の傷を受けましたが、十分な援助が受けられない状態が続いており、また従来のノウハウでは対応できないような様々な問題に直面しています。こうしたなか、今回の研修は、震災後に医療支援チームの一員として被災地にて支援活動を行った当地在住ソーシャルワーカーの働きかけにより実現したものです。
日本からの参加者からは総じて本研修の意義と成果について賞賛が寄せられるとともに、震災直後から現時点に至るまで被災地に思いを寄せ継続的に支援を行っている当地関係者への謝意が示されました。
報告会では、参加者による活動報告が行われたのち、日米双方のコーディネータや、研修に協力した当地関係者らによるコメントが寄せられました。概要は以下の通りです。

1.平岡雪雄 社会福祉法人恩賜財団母子愛育会愛育相談所所長(派遣元)
大規模災害時の子どもの心のケアは重要であるもののこれまで注目が薄かった分野であり、今回は厚生労働省等の支援を得てボストンでの研修が実現した。ハードな研修だったが、幅広い分野のプログラムが組まれており米国における取り組みが大いに勉強になった。今回の成果を持ち帰り、被災地のお役にたつよう努めるとともに、自然災害の多い日本にあって今後また来るべき時期に備えた活動を行っていきたい。

2.本間博彰 宮城県子ども総合センター所長(日本側コーディネーター)
米国側コーディネータの江津氏の働きかけにより研修が実現できた。江津氏とは事前に面識はなかったが、江津氏の熱い思いを信じて日本側コーディネータをお引き受けし、今回の研修を実現できて光栄。震災直後に比べると日本では被災地への関心が低下しているが、当地では多くの方が引き続き関心を寄せ、どのような支援ができるか考え続けていてくれていることを知り、強く勇気付けられるとともに深く感謝している。ボストンの皆さんの温かい気持ちを自分がサンタクロースになって被災地の子どもたちに届けたい。

3.江津秀恵 ボストン子ども病院神経科ソーシャルワーカー(米国側コーディネータ)
震災後に被災地に赴き、その時点では気丈にふるまっていた子どもたちに接して、何もできないままに戻ってきた。地震・津波・放射能被害等の体験や、親族や友人を亡くした精神的影響は長期間にわたるものであり、特に子どもたちへのケアが心配だった。被災地のために当地で何ができるか考えた結果、今回の研修を企画。総領事館をはじめとして協力いただいた方々に心から感謝を申し上げる。

4.鈴木ありさ ブリガム・ウーマンズ病院放射線科医師(特定非営利法人TMAT米国側コーディネータ)
震災直後に被災地入りしたマサチューセッツ総合病院救急科のハリス医師(JETプログラムOB)をはじめとして、TMATを通じて米国から約40名にのぼる医師、看護師、ソーシャルワーカー等が被災地に赴き医療等支援を行った。TMATは阪神淡路大震災を契機に結成され、内外での緊急医療支援活動を行ってきたが、心のケアに対する対応が不十分だったことが東日本大震災後の反省点であり、本研修の成果を今後の活動に生かしていきたい。

5.マイケル・メレンデス シモンズ大学教授(研修講師)
江津氏に自分の大学の授業を手伝ってもらっているが、今回は研修プログラムの一環として自分のクラスに研修参加者の皆さんに参加してもらい、ディスカッションを行った。被災地の実態に触れて他の学生にも非常に良い授業となった。こうした経験の共有により、災害時の子どもの心のケアが充実していくことを切に願う。

<報告会全景:総領事挨拶>

<コーディネータ挨拶:江津氏及び本間氏>

<研修団一行>


(2011/12/9)

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